ある日の会話。
お前、人が嫌いだろ。
そんな言葉を言われた。
そんな事は無いと思う。
確かに自分は人間では無いが、嫌いかと言われればそんな事は無いと思う。
死にたくなかった。
だから殺した。
それの何処が悪いのか理解出来ない。
この世界についての学習は確かにした。
(この時代、というのは変な感じがした)
(だって、自分が過ごしていた世界とあまりにも違いすぎる)
(これはもう新しい世界だろう)
人を護ると言う事も学習はしたが。
面倒ではあるけどそれがこの世界のあり方というならば郷に入っては郷に従え。
護る為に自身のあり方を変えた彼の意に背くような事はしたくない。
(思いの他気に入っているのだ)
(他者に興味を持つ事が稀だった、己が)
聞かれるとは思わなかったのだ。
彼は恐らく自分と似たような思考を持っていると思ったから。
だからまさか聞かれるとは思わなかった。
己の事など。
話したらば、この言葉だ。
人が嫌いか?
そんな事は無い。
だって、貴方が護りたい世界だ。
…そこまで考えて愕然とした。
何だこの思考は。
知らない。
今までこんな事を考えるなんて、無かった。
そして唐突に理解した。
そうか。
自分はこの世界を存外気に入っているのだ、と。
目の前にいる彼を好いているのだと。
ならば早かった。
聞かれたという事は、彼だって多少なりとも己に興味を抱いたのだろう。
此方も知りたいと思った。
もっと深く、奥まで。
知りたいのだ。
狂気を映すその瞳が、何故世界を護ろうとするのか。
醜悪に歪むその唇が、何故皆を気遣う言葉を紡ぐのか。
矛盾だらけのこの人を理解したいと。
嗚呼、己も大概にして歪んでいる。
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